渋谷区の集合住宅のリフォームのお見積り
2022/04/21
渋谷区の集合住宅リフォームのお見積りです。
集合住宅ともなると割と大規模な修繕工事となる事も多いため、特に「大規模修繕工事」あるいは「大規模改修」などと言ったりもします。
期間は1か月を超える事が多く、3カ月以上に及ぶこともあります。工事の流れとしては
1.仮設工事(共通仮設・直接仮設)・・・共通仮設は現場事務所・休憩所、トイレ、シンク等工事のために必要な設備・施設の整備、
直接仮設は工事のための足場架設や足場のための運搬などです。
2.下地調査(打診調査、図落とし、数量集計、増減表報告)・・・目視あるいは打診棒で躯体を叩き音の違いで異常個所を見つけマーキングを施し、
それらを図面に書き込み(図落とし)、数量を集計して見積り時の見込み数量との違いを増減表としてまとめ、工事発注者に報告します。
この時、実数が見積もり数量より少ない時は見積金額から差し引き、多い時は相談の上施工箇所・方法を決定します。
3.下地補修工事(躯体補修工事)・・・増減清算で決定した項目に基づき躯体の補修を行います。塗装面ではクラック・欠損・爆裂・浮き・脆弱部補修、
タイル面では注入・タイル貼替えを行います。
4.シーリング工事・・・躯体目地、サッシ廻りなどについて、既存部撤去・新規充填(打ち替え)か打ち増し工事。
5.塗装工事・・・外壁・内壁・腰壁・軒天等の塗装、鉄部等の塗装。
6.防水工事・・・屋上、ルーフバルコニー、バルコニーなどの防水工事。共用部・階段の長尺シート張りも含まれます。
7.その他付帯工事・・・大規模修繕と一緒に網戸の貼替その他付帯する工事を行う事もあります。
8.検査・是正・・・現場監督、監理者、発注者(オーナー、施主、組合)による検査を行い、その是正を行う。
9.足場解体・引渡し・・・足場解体、仮設設備撤収、敷地内清掃を終え工事完了
といった感じとなります。エリアを区切り、概ね1→9の順に工事を進めていきます。
途中順序が変動することもありますが、日々密な打ち合わせをしながら臨機応変に対応するのです。
大規模修繕工事では大きな数量かつ大人員での作業となるため、施工管理、安全管理が重要となります。
屋上防水
既存防水層が破断していました
写真をご覧いただくとモルタルが露出しているのがおわかりいただけるでしょう。
状態としては深刻です。既存防水層が破断・・・というより破壊されており、ぽっかりと穴が空いているおりました。
もともとは「アスファルト押えコンクリート(モルタル)防水」であった所に、経年劣化で修繕が必要となり、前回FRP防水を行ったのでしょう。
そのFRP防水層が何らかの理由で破断し、そのまま時間の経過とともに悪化して今に至る・・・と言うわけです。
マンションやビルの陸屋根では新築当初コンクリート(モルタル)が露出しているのが普通です。
表面を覆うコンクリートの下にちゃんと防水層があって、雨漏りの心配はありません。
ところが、年数と共に内部防水層が劣化すると雨漏りする事もあり、
リフォームするにあたってウレタン防水等で表面を保護するのです。
ですから現状露出させてはいけない段階を経て表面を防水層で保護していたのに、再び露出してしまった状態であり、
すぐにでも表面を保護しなくてはならない事は明らかです。
ではこの「何らかの理由」とはなんでしょう?考えられるのはFRPという材質によるもの、付近の排水溝、笠木の三つがパッと浮かびます。
まず、FRPとはお風呂の浴槽にも使われる硬質な防水材です。
現在でもバルコニーなどで頻繁に利用されているものの、屋上のような大きな面積ではそれほど用いられていません。
FRPは防水材としてはかなり優秀です。かなりの強度を持ちつつ、継ぎ目もないため漏水リスクが相当低い。
しかも軽いので躯体への負担も少ないときます。
ところが、その長所としての硬さが、柔軟性の欠如となり、さらには建物の挙動(動き)への追従不足となり、
大きな揺れなどの外力がかかる事によって「パリッ」と割れる事があります。
ですから、さきほど「バルコニー」では使われるものの・・・という但し書きをしたわけです。
今ケースのように屋上に直にFRP防水を施した場合には特に防水層の破断が起こる可能性があります。
次に「付近に排水溝」があるという事です。
防水工事をしたのにまた雨漏りが・・・という場合、結構な割合で排水溝が原因だったりします。
排水溝は雨水を一旦貯めて排水管へと流し込むのですが、この箇所が実は漏水しやすいのです。
その対応策として「改修用ドレン」というものがあるのですが、現状ではこれを使用している形跡はありませんでした。
ここもかなり怪しいと感じたわけです。
最後に笠木手摺です。鉄製の笠木と手摺が一体となった昔よく見かけたタイプです。
手摺周りもまた漏水の原因となりやすい箇所でして、案外これが知られていません。
アルミ製であっても継ぎ目部分のパッキンその他の劣化で笠木や手摺内部に水が入り込んで漏水するというケースが時々あります。
いや、「雨漏りしている~」とお声をかけていただいた場合だと結構な割合です。
まして鉄製だと錆びて穴が空いたりすると・・漏水リスクはアゲアゲです。
鉄製の場合中が空洞だったりするわけで、小さい穴でも手摺内部に容易に水が入り込みます。
そこで問題となるのが手摺の根元部分です。
根元部分がしっかり蓋されていればまだ漏水リスクは下がります。
ですが、空洞のままそのままコンクリートにぶっ刺したような場合には、既に水が回ってるか、いずれは水が回るかという状態でしょう。
こうした場合には「グラウト注入」という工事で改善する事もありますが、
いずれにせよ笠木を取り外し、現在見えない笠木の下の部分に対して防水処置をしないと片手落ちとなります。
防水は「隈なく」施工してこそ効果を発揮するものですから、一部未処置となると効果のほどはいかほどのものか・・・
クラック補修
壁のひび割れ多数でした
腰壁部分にクラックが多数見られました。腰壁とは廊下やバルコニーの手摺壁など「腰から下くらいの高さの壁」の事を言います。
こうした大小たくさんのひび割れがあったわけですが、詳しくはクラック補修をご参照ください。
本物件での補修方法としては「擦り込み工法」か「Uカット工法」による補修で対処できるでしょう。
どちらを選ぶのかはクラックの大きさによります。弊社だと0.2mm未満なら擦り込み、0.2mm以上だとUカットで対処いたします。
これだけクラックがあると、欠損や浮きなど他の症状もきっとあるでしょう。
見積りの段階だと正直正確には数量を出せません。壁面積の3%などと見込みをつけて積算しますが、
下地調査で実数を出した結果見積金額が減る事もあれば、増える事もあります。
その点お見積もり時にしっかりと説明しておかないと後々トラブルの原因ともなりますので気を付けたいところです。
見た目にわかりやすいクラックならある程度実数に近づけるでしょうが、それでも足場架設後に計測するとズレは出ます。
まして、叩いてみなければわからない浮きなどはどうやっても見ただけではわからないので、
会社として一律壁面積の何%として見積もるのか、ある程度の範囲を決めて現状に即した%にするのかといった具合になります。
是非覚えておいて頂きたいのが
「下地補修工事では見積金額が下地調査によって変更され、その後増減表を基に打ち合わせを行い、
どの程度、どの範囲、どのような方法で補修するかを決定、その結果により工事を進める」という事です。
下地補修は傷みの激しい建物程数量が増える可能性が高く、さらに見た目それほど傷んでないような場合でも、
調査してみたらかなりの数量に及ぶ不良個所が発見される事もあります。
予算との関係でやむを得ず除外する場合もありますが、知恵を絞り、リスクの低い箇所を削ったり、補修方法を変更するなど、
よりベターな地点へと誘導する事もリフォーム業者の役割だと思います。