下地補修~タイルの張り替え~
2022/10/06
タイルの張り替えについて
下地補修工事のうち、外壁タイル面については大きく2つの補修方法があります。
- 注入工事
タイルが張り付けモルタルごと躯体から剥離している状態を「タイルの浮き」と表現します。先端に球体の金属が付いた打診棒でたたいて調査を行い、音の違いによって正常or異常の診断を行うのです。とても原始的な方法に思われるかもしれませんが、叩いた際の音の違いはかなりのもので、不良個所ではカラカラと乾いた音が響き渡り、専門外の方でも違いがわかるほどです。もちろん、異常を示す音には幾つかあって、それを正確に読み取るためには経験が必要となってきます。あるものは注入工事によって補修すべき異常音、あるものは張り替えによって補修すべき異常音、多少異常な音を立てているものの補修すべきほどではないものと言った具合に、瞬時に判断しながらマーキングを行っていきます。マーキングはタイル面だと色違いのマスキングテープを張って、状態の違いと数量を壁に直接表していきます。ちなみにモルタル面だと水性マーカーで壁に直接記します。 - 張り替え工事
タイルにクラックがある場合、タイルが欠けているとき、タイルだけが躯体から浮いている時には貼替によって補修を行います。同じ「浮き」でも接着モルタルごと浮いている場合は「注入」、タイルだけが浮いている時は「張り替え」が基本となります。タイルのみの浮きを特に「陶片浮き」と呼び、この陶片浮きは注入工事により補修できることもあるのですが、何せ躯体との間の隙間がわずかなため、接着液が入り込まない可能性もそれなりに高いため、最初から陶片の場合は張り替える、あるいは一旦注入による補修を試みて、ダメなら張り替えにするといった対応となります。
上の写真をご覧いただくとタイルにクラックが入っているのがわかりますね。打検調査と一緒に目視によってひび割れ箇所にマーキングを施し、その結果に基づいて補修工事を行っていきます。下地補修工事の注意点は、下地調査後「増減精算」が必要となる事です。下地にどの程度の不具合があるのかは実際に調査してみないとわかりません。その為、見積もり時には「見込み値」で数量及び金額を出し、これは例えばタイルの張り替えは外壁の全面積のうち0.6%程度の見込みとするなら、1000㎡だとすると6㎡程度の張り替えという事となります。
より一般的なタイルのサイズだと1㎡で200枚のタイルが使われているので、6×200で1200枚という事となります。
こうして下地調査の結果判明した実数と見込み数との差異を施主さんに提示して、少なければ減額となりますし、多ければ増額となります。
尚、この事例では目地に接するタイルの張り替えとなるため、シーリング工事はタイルの張り替えの後に行う事となります。
タイル張り替えの様子
タイル張り替え工事で注意点
タイル工事を含む下地補修工事は「騒音」と「振動」を伴う工事です。それとともに、粉塵が舞い、削り片が周囲に飛び散る事もあります。
まずは、騒音と振動についての周知を行い、居住者や近隣各位の諸事情を鑑みたうえで施工計画を立てる必要があります。
最近の社会情勢によってテレワークなど在宅でのお仕事も増えました。特に会議等の事情がある場合にはその時間帯になるべく音を出さないよう
な作業に切り替えるなどの配慮も求められます。とは言え、音と振動なしに工事を進めることはできません。その点は十分にご理解いただき、工程
を工夫できる限りでは一定時間音や振動を軽減させるなどの対応となります。
そして、粉塵対策としては集塵機の使用、削り片対策としてはガラ受けの使用が有効です。