東村山市屋根塗装とタスペーサー
2022/06/11
写真をご覧ください。何やら黒っぽいものを差し込んでいますね。
これは東村山市で屋根塗装をした際に用いた「タスペーサー」と呼ばれる建材を設置している様子です。
屋根塗装の際には必ず使っていただきたいものなので本日取り上げました。
タスペーサーは屋根の重なり部に差し込むことで水抜きのための隙間を確保するものです。
コロニアル屋根は幅600mm~900mm程度、働き長さ(重ねて使う材のうち重なり部分を除いて露出する長さ)200mm前後の物を、
水下(屋根の低い所)から並べていき、水上に向かって張り重ねていきます。
ですから、材の約半分が下のコロニアル屋根に乗っかっているだけの状態となります。
以前の記事「日本の気候と建築~雨仕舞(あまじまい)~」でもご説明しましたが、
水が重力に従って流れ落ちるよう配しながら、少量の水が材の裏側に入り込んでもやがて流れ落ち、長く留まらないようになっています。
ところが、塗り替えによって屋根塗装をする事で、この重なり部が塗膜でふさがってしまうと、水が抜けなくなり、
長く留まれば蒸れて傷んでしまいます。
しかも、ある一定以上水が溜まるとオーバーフローして、本来入ってはいけない内部に水が浸入する可能性もあります。
こうなると雨仕舞の作用するところを超えた状態となり、雨漏りの原因にもなりかねません。
そこで、かつては屋根塗装後は「縁切り」するべし!とされていました。
縁切りとはカッターなど鋭利なもので、重なり部分の塗膜を切断し、水の抜け道を確保する事を言います。
塗装終了後再び屋根に上り、カッターを入れ、屋根がパカパカ動くようにする。
これが重要だったわけです。
塗装後美しくなった屋根に足跡をつけながら(なんとも言えない罪悪感を感じつつ)、
良質な施工のために縁切りをしてきたわけです。
ですが、上記タスペーサーを使えば、縁切りは必要ありません。
仕上げたばかりの屋根に足跡をつけて、凹む事もありません。
「安心してください。隙間空いてますから!」となるわけで、
綺麗に仕上がった屋根を眺めつつ、満足げにうなずくこともできるわけです。
コロニアル屋根一枚一枚に差し込むわけですから、手間も材料代もかかります。
つまり、単価も上がるという事です。
しかし、雨仕舞という日本古来の排水方式を十分に発揮するためにも、
タスペーサーを設置する事を私は強くお勧めいたします。