外壁塗装仕上げの模様(種類)
2022/05/14
ここ最近はサイディングやボードと言った、張り物系の外壁が増えました。
塗装仕上げは廃れつつあるものかもしれないと思うと寂しい限りです。
で、その塗装仕上げによる外壁について、
表面を見ると模様がついているのがわかります。
今日はこの模様についてのお話です。
こうした模様は塗り替えではほとんど施工に関係がありません。
これらは新築時に施され、塗り替えではそうした既存の模様を継承します。
つまりは、そのまま塗り重ねるのが普通です。
下地補修の過程で既存部を斫ったり、左官補修した箇所を肌合わせ(模様付け)する場合を除いては
「こういう色々な模様があるんだ」程度の認識で十分でしょう。
吹付けによる模様
外壁模様の王道とも言えるのが吹付け塗装による模様付けです。かつては新築時の模様付けはほとんど吹付けでした。
- リシン吹き・・・骨材入りの薄付け仕上げ塗材でリシンガンで吹付けて仕上げます。
表面にゴマ粒をポツリ、ポツリとまぶしたような仕上がりです。
かつては新築後の最初の塗装仕上げとして用いられましたが、最近はそもそもサイディングやボード系など張り物系の仕上げが多く、
あまり見られなくなりました。
モルタル壁は完全に水分が抜け切るまでに相応の時間がかかるため、塗膜を形成すると水分が抜けなくなるため、リシン吹きが向いています。
築後5年も経つと汚れが目立つようになり、苔も生えやすい。
また、クラックも入りやすいので、1回目の塗り替えは早めにした方が良いと言われます。 - 吹付タイル・・・今現在塗装仕上げをしているお宅の多くがこの吹付タイルです。
タイルと言うのは商品名に由来するため、タイル張りの外壁とは明らかに違います。
玉材と呼ばれる専用塗材をタイルガンで吹付けて仕上げます。
水玉のような模様がついているのがまさにこれです。「吹きっぱなし」と「ヘッドカット」2種類の仕上げ方があります。
玉材を吹くと水玉模様になるわけですが、そのまま仕上げたのが吹きっぱなし、
吹いた直後の柔らかいうちに「ヘッドカットローラー」を
水やシンナーで湿らせながら表面を押えて平らにしたものがヘッドカット仕上げです。
仕上がりはひとえに「腕」と「センス」次第です。吹付け塗装に関しては慣れない人には任せない方がいいでしょう。
吹付タイルがリシンやスタッコと大きく違うのは、模様付けだけの工程である事です。
これとは別に普通の外壁塗装の工程(下塗り・中塗り・上塗り)を行わないといけません。 - スタッコ・・・石灰、セメント、骨材などが含まれる厚付け仕上げ塗材。
吹付タイルと似たような模様ですが、一番の違いは塗材に骨材等が入っている事です。
ですので、スタッコは模様をつけつつ、そのまま仕上げとなります。吹付け仕上げとコテ仕上げがあり、またヘッドカット仕上げもある。
掻き落とし(かきおとし)
珪砂(けいしゃ)、寒水石(かんすいせき)、その他骨材を混ぜ合わせた材で、
表面を金串・ブラシを使って掻き落とす事からこう呼ばれる左官仕上げの1種。
一見リシン吹きに似てますが、リシンは凸模様なのに対し、
掻き落としは凹凸模様です。
塗り替え時は吸い込みの激しい下地ですので、フィラーのような粘度のある下塗り材でしっかり吸い込みを止める必要があります。
マスチックローラー仕上げ
マスチックローラー(砂骨ローラー)という専用のローラーを使って波型模様を付けます。
粘度の高いフィラーなどを用いて下塗り材で模様をつける事が多いです。
「パターンを付ける」と言えばこのマスチックローラーによる模様付けを指すことが一般的。
塗料の希釈量を調整して、粒の大きさを微調整します。
熟練してないと尖った模様となりますが、丸く大きなものが上手な仕上げです。
下地強化の役割も果たしますので、下地の状態が悪い時に採用するのもおススメです。
模様変更を伴う場合にはパター付けを二度(マスチックローラー2回塗り)行う事もあります。
ジョリパット
ジョリパットはアイカ工業の商品名で意匠性の高い塗装仕上げとして普及、定着したものです。
似たような仕上げ材としてはエスケー化研のベルアートがあります。
左官、吹付け、ローラーで仕上げ、その模様の種類は豊富です。
左官仕上げの場合にはその職人さん毎に違う模様となると言われるほどで、
標準的な模様の仕上げ事例を参考にしても、それぞれで異なった風合いになります。