シーリング工事とは?その特徴や種類について
2022/05/02
シーリング工事は建材と建材の継ぎ目や、サッシ廻りの隙間にゴムのような弾力のあるものを充填する工事です。
住宅その他の建築物は無数の建材を接合して作られるわけですが、部材同士を直接接する形で固定すると、
建物の挙動(揺れや動き)や四季を通じた寒暖差による物質の伸び縮みによって互いに干渉しあい破損してしまう事があります。
そこで弾力性があるシーリング材を用いる事で建材に対する外力その他の力に対する緩衝材にしているわけです。
シーリング材はそうした隙間から内部に水が入らないための水密性も有しています。
水密性とは水が入り込まず・抜け出さない事を表す言葉で、水ではなく空気で言えば「気密性」となると言えばわかりやすいでしょうか。
シーリング材の種類
シーリング材は大きく5つの種類があり、施工対象の特徴(物質面・施工か所がどこか)や目的に応じて使い分けます。
- シリコン・・・耐候性・耐熱性・耐寒性にすぐれ、かつ低価格であるというコストパフォーマンスの高さが魅力。密着性に優れており、プライマー無しでも施工できます。水廻り・ガラス廻りに用いられます。塗料の付着性が悪いため、塗装仕上げの場合は基本用いません。含有するシリコンオイルが遊離し、大気中の汚れを吸着し、周囲を黒く汚染(撥水汚染)する事もあります。
- 変成シリコン・・・シリコンほどではありませんが、耐候性に優れます。サイディングやタイル壁の場合に露出仕上げ(上に塗装しない)する場合に用いられます。変成シリコンは塗料が塗れるではありますが、あくまで「塗れる」という意味合いで捉えた方が良く、塗装で仕上げる場合にはウレタン系を使うのが一般的です。ガラス面への使用はできません。また、厚みが足りない場合に硬化不良を起こす事があります。
- アクリル・・・硬化すると弾性体になり湿った箇所にも使用可能です。ALCパネル目地で用いられますが、それ以外だと外部で使われる事はほとんどなくなりました。塗料やシーリング材で現在も使われるアクリルウレタンは「アクリル」なのか「ウレタン」なのか紛らわしいですが、「ウレタン」の一種と考えた方がよいものです。
- ウレタン・・・密着性に優れ、硬化すると弾力性の高い仕上がりとなります。塗装面の目地やクラック補修で用いられます。逆に、紫外線に強くはありませんの露出仕上げには不向きです。施工時の気温・湿度が高い場合発砲する恐れがあります。
- ポリサルファイド・・・変成シリコンほどではありませんが耐熱性に優れ、表面にゴミ、ほこりが付きにくい特徴があります。2液タイプのものはガラス廻りの目地に用いられます。表面の仕上げ塗材や塗料を軟化・変色させることがあるため、塗装する場合には、汚染防止処理を行う必要があります。
1液と2液
1成分形・2成分形とも言います。
1液タイプは空気中の水分と反応して表面から硬化する湿気硬化型が主流で、
カートリッジをガン器に装着すればすぐに使用できる便利さが何よりです。
ホームセンターで気軽に購入できるためみなさんも馴染みがあるのではないでしょうか。
2液タイプは基材と硬化剤を調合、練り混ぜて使用するものです。
4L、6Lセット等の丸缶が基材、レトルト食品のようなアルミパックに入っているのが硬化材。
これらを使用直前に混入させ、ミキスターという機械で十分に練り混ぜて使います。
1液タイプで使う物より大きなガン器に丸缶から適量移し、丸缶事持ち歩き施工します。
ガン器内のシール材を打ち切る都度、丸缶から移し、丸缶が空になると違う丸缶を練って使います。
練り混ぜるのに15分以上かかるため、現場では待ち時間ができないよう計算しながら、
練り混ぜとガン打ち(へら押え)作業を平行して行います。
休憩時間を使って練り混ぜる事も多いです。
コスト面では断然2液タイプです。
耐久性うんぬんについては2液タイプが優れていると言われますが、
攪拌不足(攪拌不良)による硬化不良のリスクはあります。
シーリング工事の工法
シーリング工事には大きく「打ち替え工法」と「打ち増し工法」の二つがあります。
打ち替え工法は既存部を撤去し、新規にシーリング材を充填、仕上げる工法です。
- 十分な厚みを確保できるため、シーリング材の性能を十分に発揮できるとともに耐久性もあります。
- 既存部の劣化が著しい場合、水分を含んでいたり、目地底に水が溜まっているなど、「不良部」を残すリスクがあります。
- コスト的には打ち増し工法よりかかります。
打ち増し工法は既存部を残したまま、上にシーリング材を付け足す工法です。
- 撤去手間がかからず、材料も少ないため低コスト
- 打ち替えに比べ工期が短縮
デメリットとして以下の2点
- 厚みが数ミリ程度しかつかず、早い段階で捲れたり、隙間が空くなど劣化が早い。耐久性も打ち替え工法に劣る。
- 既存部に不具合がある場合に、その不具合を引き継いでしまう
上記二つの工法だと、耐久面から考えれば打ち替え工法を選択した方が良いものの、
コスト面で不安がある場合は打ち増し工法も選択肢となります。
大規模修繕工事では打ち替え工法以外で施工した事はありませんが、
外壁がパワーボードの時は「打ち増し」がむしろ一般的な場合もあるため、一概にどちらが良いかは言いずらいところ。
あとは構造や躯体の素材、状況などから判断する事となります。