下地補修~浮き補修「内容」編~
2022/03/23
浮き補修は躯体から剥離した部分に専用の工具を用いてエポキシ樹脂を注入する事でその個所を躯体に接着させ落下を防ぎます。
接着液を注入するという内容から「注入工事」とも呼ばれます。
浮き補修は注入工事と呼ばれます
剥離した部分を躯体に接着させるためエポキシ樹脂を注入します
さて、今回は具体的にどのようにして浮き補修を行うか話そうかの。
前回は浮き補修の内容に至る前に終わってしまったからの。
かろうじて落下せずに済んでいる状態が「浮き」という事じゃが
地震などの大きな力がかかればいつでも落下してしまうかもしれない危うい状態と言える。
これを改善するには浮いている部分に穴を空け接着液を注入し、
不良個所を躯体に接着させる必要がある。
注入工事と言えばタイル面を思い浮かべるが、
塗装面でも「浮き」は起こりうる。
補修方法もまぁ同じと言って良いじゃろう。
以下ではタイル面についてメインで説明しよう。
まずはタイルとタイルの間にある「目地」に穴を空ける。
その穴から接着液である「エポキシ樹脂」を、
専用のガン器を用いて注入するのじゃ。
シーリング工事で使う「コーキングガン」を知っとるかの?
ホームセンターでも売っておるので、好きな人ならわかるじゃろ。
あれを少し大きくしたもので、
引き金を引くと樹脂がノズルの先端から飛び出す仕組みじゃ。
1回引き金を引き、液を注入する事を「ストローク」と言う。
注入工事では内訳の数量として「穴数(けつすう)」で表す。
液剤注入のために穴をあける事から、何か所空けるかで数量を表すのじゃ。
ただし、1穴ごとに1ストロークと言うわけではない。
液剤が適量充填され対象が接着されなけば意味がない。
そのため、1穴ごとに数ストローク~数十ストロークにも及ぶ。
じゃから、1穴≠1ストロークではないという事になるわけじゃ。
たくさん液剤を注入すれば良いわけじゃなく、
量が多すぎれば周辺のタイルが割れてしまったり、
浮いてないタイルも巻き込んで浮かせてしまう事がある(これを共浮きと呼ぶ)。
注入か所のタイルを打診棒で叩きながら、
十分に液剤が行きわたったのを確認しながら、あくまで適量注入するのじゃ。
くどくなるが少なすぎても多すぎてもダメなのじゃよ。
手順としては以下の通り
穴あけ→清掃→ウエス差し込み→エポキシ樹脂注入→埋め戻し
エポキシ樹脂注入後ピンを差し込むこともある(ピンニング工法・ピン工法)。
電動ドリルやインパクトドリルを使うから騒音と振動が生ずる。
穴の中は埃だらけじゃからエアスプレーでシュ~っと一吹きするのがコツじゃな。
しっかり清掃せんと接着液が中々入っていかず思わず力を入れすぎてしまい、
ここでもタイル割れや供浮きが発生するから注意じゃ。
注入工事は部分的な浮き補修
浮きの範囲が部分的な時は注入工事、広範囲の場合は張替え工事です
左様左様。
注入工事はこうした部分的な浮き補修に大変有効な補修方法じゃ。
ただし、浮きが広範囲に渡る場合はこの限りではない。
修繕工事では浮きが一定の面積以上じゃとタイルの貼り替えをする事が多い。
接着による補修はあくまで周辺が健全な状態である事を前提としておるからじゃな。
打診調査の際に広範囲に浮いていた場合にはそこら一帯のタイルを剥がし、
新規にタイルを張り直す事になる。
つまり、部分浮きに対しては「注入」、
平米浮き(ある程度まとまった面積の事。1.5平米や0.8平米などとして数値を表す)
に対しては「張替え」によって補修するという事じゃ。
ちなみに注入した液剤は同心円状に広がる。
浮いたタイル裏全体を接着させるわけじゃない事は覚えておこう。
タイルの裏面を点で接着させるイメージじゃな。
さて、浮き補修についてはここまで。次回タイル張替えについて説明しよう。