刷毛(ハケ)とローラーで塗り替えをしよう!
2022/05/10
外壁、屋根その他の塗り替え工事では工程毎に様々な道具・副資材を使います。
塗装工事の最初の作業「ケレン」をするならカワスキやマジックロン(極太のナイロン繊維を使用している研磨材)、サンドペーパーなど、
「養生」をするならマスキングテープなどのテープ類、ノンポリなどのビニール類、そしてマスカー等々といった具合です。
では実際に塗料を「塗る」のに使うものは?と言えば、「刷毛(ハケ)」と「ローラー」が主な物になるでしょう。
エアレス(スプレー)を用いる事もありますが、飛散被害を考えると、二の足を踏んでしまいます。
刷毛1~2本とローラーを持ち回りながら作業をするのが一般的と言えるでしょう。
ダメ込み
外壁塗装・屋根塗装で隅角部(入隅や出隅)や狭窄部(狭い場所)、入り組んだ場所を刷毛で塗る作業の事をダメ込みと言います。
水性塗料では「豚毛(ぶたげ)」の刷毛、溶剤系塗料なら「人形刷毛(にんぎょうばけ)」と「筋交い刷毛」などを用います。
刷毛は幅・厚みの違う何種類もの規格があります。そもそも水性と油性とで使用の可否も生じます。
小さいものだと狭い場所でも差し込んで塗る事ができる代わりに、少量の塗料しか含めないので、
1度にわずかしか塗れず何度も塗料を含ませなりませんし、作業性が落ちてしまいます。
反対に大きいものは多量の塗料を含むことができ、一度にたくさん塗れますが、狭い場所では役に立ちません。
ですから、大小数本の刷毛を携行するのが普通です。
ローラー塗り
平面はローラー塗りです。ネタを適量含ませ、最初にネタを巻き、均一かつ滑らかに塗っていきます。
塗り方は「十字を切る」のが基本となります。
これは塗る方向が縦向きと横向き両方で行うという事です。
塗装面の下地は大小の凹凸があります。縦方向だけあるいは横方向だけだとこうした凹凸の内部までしっかり入り込まないのです。
まず横向きにローラーを往復させ、次に縦向きに往復させ仕上げます。
一度に作業する範囲の中で何度も往復させるのがまず大切です。
次にローラーを転がす方向を縦横二方向織り交ぜる事で確実に目をつぶしていきます。
熟練してくるとわざわざ意識して十字を切らずともしっかり仕上げる事ができますが、
要はきっちり目をつぶせれば良いのです。
「目をつぶす」と言うのは職人言葉で、多分木部塗装で「木目」をパテ処理する事から来ているのでしょう。
木目は塗装するには邪魔です(クリア塗装ならまだしも)。凹凸そのものですから、これを埋めないと仕上げられません。
この際パテ処理する事を「目止め」と言い、この目止めと言う言葉が他の領域でも使われ、
目をつぶすという表現になったのでしょう。
実際の現場作業では刷毛も携行して、ダメ込みをしながらローラー塗りを行いのが一般的でしょう。
ダメ込み直後乾く前にローラーで耳をなくせば仕上がりも綺麗だからです。
吹付け
エアレスなどの吹付け塗装は塗り替えではあまり使われません。
エアレスで吹けばそれは美しい仕上がりとなります。また、作業性がよく工期も短縮できます。
けれども飛散によるリスクを考えると使うデメリットの方が大きくなってしまうのです。
その為塗り替えでは刷毛とローラーで作業するのが一般的となっております。
ただし、表面模様をつけるために玉吹きするような場合には、
厳重な養生を行い、吹付け塗装する事もあります。
また、敷地が広ければ雨戸などを取り外して一か所にまとめ、エアレスで仕上げる事もあります。
塗り物(ぬりもの)
木枠や鉄格子、水切り、雨どいと言った線状(面に対して)の部分を塗装する事全般を「塗り物」と表現します。
溶剤系塗料の事を特に「ペンキ」と言い、「刷毛で塗る物」という事でこう呼ばれます。
外壁などをローラー塗りするのに対する言葉でもあります。
外壁塗装が進み、部分的には仕上がった段階で
「じゃ、俺ペンキ段どるわ」とか「午後から塗り物出て」などとやり取りします。
破風板や霧除けのように線状でありつつ、面といえる大きさだと、刷毛に加えてローラーも用いますが、
併せて塗り物と呼ぶ事が多いです。
外壁材や屋根材のような大面積以外の細かい部分全般に対する言い方と言ってもいいでしょう。