シーリング工事の施工手順その1
2022/05/03
シーリング工事は外壁その他の目地やサッシなどの建具周りに緩衝材としてのシーリング材を充填、仕上げる工事です。
詳しくは「シーリング工事とは?その特徴や種類について」をご覧いただければどのようなものなのかご理解いただけるでしょう。
ジェル状の材料を用い、1液タイプなら主に空気中の水分と、
2液タイプなら基材と硬化材の反応硬化によって弾力のあるゴムのようなものになって建物を保護します。
シーリング材は、目地の交差部または角部から打ち始め、
打ち継ぐ場合は逆に交差部や角部を避けてそぎ継ぎ(接合面を斜めにして接合する打ち継ぎ方)とします。
硬化状態は指触により、接着状態はヘラで押さえて確認します。
ワーキングジョイントとノンワーキングジョイント
「ワーキングジョイント」とは、ムーブメント(動き)の大きい目地のこと言います。
目地幅が変化し、構造体の被着体部の変形が予想されため、
目地を防水するためにシーリング工事を施す際は2面接着にします。
2面接着とは目地底に接着させず、壁材だけにシール材が接着している状態を指します。
これはムーブメントに対する追従性、接着性、耐久性を考えた場合、
3面接着にすると局部的な応力が生じ破断しやすいからです。
2面接着にするために「バックアップ材」や「ボンドブレーカー」を目地底に装填して施工します。
ご存知のない方が見ると「詰め物をして材料をケチってる」と思われるかもしれませんが、
これは「敢えて詰め物をしている」という事をご理解ください。
新築時に既にバックアップ材等が設置されている時は既存の物を利用します。
バックアップ材はシーリング材の充填深さ(厚み)を所定の寸法に調整するために用いる材料で、
丸形のもと角形のものがあります。
ボンドブレーカーは目地が構造上シーリング材の充填深さと同程度しかなく、
バックアップ材を装填すると仕上げ面が周囲より高くなるなど、使用が困難な時に用います。
シーリング工事では目地高さは周囲より少し低く仕上げるのが通常です。
裏面に接着剤がついているものは目地幅より1mm程度小さいものを、
接着剤がついてないものは目地幅より2mm程度大きいものを使います。
「ノンワーキングジョイント」とはムーブメントが小さいかあるいはほとんど生じない目地の事を言います。
被着体の変形が予想されないため3面接着に仕上げます。
そもそも2面接着だと目地底との間に隙間ができてしまい、
その隙間に水が入り込むと水の流れができてしまう事があります。
例えば建物の上部で隙間が生じ、そこから入り込んだ水が流れ落ち、
途中目地底が塞がっている箇所あるいは地表近くで溜まってしまうのです。
既存シールを撤去した際に水が噴き出してくるというのも時々見かける風景ですからね。
という事でどちらにも一長一短あるので、基本に忠実に2面接着にするか3面接着にするかを決めれば良いわけです。